どーも店長です。
みなさん、便利屋さんって儲かってそうと思いますか?それとも儲かってなさそうに見えますか?
多分、業者による・・というのが私の結論です。
今回は私の周りでスモールビジネスを起業した人や、起業しようとしている人とお話しする時に、自分の時給をあまり考えないでスタートアップしようとしている人が多いなと感じてしまっているので、時間をお金に換算してみようというのを、具体的な数字を交えながら話してみようという、今回はそんなお話。
目次
ドラマ『ハケンの品格』に見る時給との付き合い方
時給3,000円って高い?安い?
ドラマ『ハケンの品格(2007年版)』に登場する大前春子さん(篠原涼子さん)のお時給が3,000円というのに、多くの正社員が「金の亡者」などと発言していました。当時31歳の東海林主任(大泉洋さん)の年収は625万円。一体、どちらが貰っているでしょうか?
単純計算でいくと3,000円×8時間=24,000円 年間の休日は52週間×2+祝日で約120日になります。
実働が365-120=245日間だとすると、5,880,000円が額面での収入となります。ここから派遣社員は交通費なども自分で支払わなければならないことから、東海林主任の方がたくさん貰っていることがわかりますね。当時の社会保険料がどうだったかなど正確なことはわかりませんが、大前春子さんの時給3,000円は年収600万円よりも安いことは確かです。(ちなみに大前春子さんは3ヶ月働いたら旅に出るのかな、かなり充実のライフスタイルです)
年収625万円の社員を実際に会社が雇用するには、社会保険料を折半したり大企業の場合は退職金を積立したり、通勤手当を出したり、会社の家賃やデスク・パソコンなどの消耗品など諸々考えると700〜800万円近くかかることでしょう。年収では東海林主任の方が多いようですが、大企業の正社員というのは残業もある程度多いことでしょう。残業代がそれなりに入っての年収625万円である場合は、時給単価はいくらか下がりますよね。
いずれにしても時給3,000円ってそんなに高くないのが実情です。
便利屋さんの1時間3,300円って高い?安い?
内容によるかもしれませんが、正直成り立たない金額です。なぜならこれは売上だから。お客さんには見えていませんが、仕事をたくさん受けるためにはフリーダイヤルにした方が依頼を受けやすいとか、固定電話の着信からスマホへの転送費用とか、車両の維持費用とか出張に関係する時間コストや、広告宣伝費とか、基本的にお客さんは考えてくれることはありません。
仮に時給3,300円の仕事でたった1時間動いた場合、往復に30分車を走らせたとしましょう。
これ仮にタクシーだとしたら3,000円くらいのコストがかかります。そして90分時間を使うわけです。この仕事を3,300円+出張費で1,100円もらったとしましょう。4,400円で90分という計算です。そして3,000円近くの移動経費を引くとほぼボランティアみたいな計算になってしまいます。
フランチャイズで教え込まれた『1時間3,300円〜』という宣伝文句と、出張費は自由に設定していいという内容で出張費を1,100円で設定して仕事を引き受けていたら全く儲かりませんでした笑。『3,300円〜』であって『3,300円』ではないんですよね。
大前春子さんの時給3,000円は給与であって売上ではありません。我々の感覚からすると3,000円のお時給にしようとした場合は最低でも5,000円/時間くらい稼ぐ必要があります。広告宣伝費を考えたらもっとかもしれません。そしてビジネスにおける5,000円/時間って最低料金くらいかなと思います。
お客さんのパーソナルな悩みや、高度なコミュニケーションが必要な内容に対して、それらの解決が3,300円なわけがありません。1時間3,300円でできるサービスはそう考えるとあまりないのかなと想像しています。
事業主が時給3,300円だとしたらどうなるか?
大前春子さんのお時給3,000円は額面588万円、そして通勤費用などを考慮すると550万円くらいでしょうか。
大前春子さんは売上ではなく給与であって、我々便利屋さんなど事業主の時給が3,300円だった場合はどうなるか。リアルな数字を書いていこうと思います。
フランチャイズ費用+保険料=60,500円
フリーダイヤル料金+スマホ代+ネット環境=20,000円くらい
※フリーダイヤルの転送費はけっこうお高め
借入の返済費用=約100,000円
広告宣伝費=80,000円
約12,000部のポスティングを外注した場合の印刷代と配布費用・デザイン費用含めて
ガソリン費用=20,000円
消耗品等=20,000円(仮)
月額で大体このくらいの経費はかかっています。ポスティングはやらない月ももちろんありますし、借入の返済費用は来年には半分以下になりますし、経費ではありません。でも固定費に変わりはありません。ざっくり300,000円くらいの固定費がかかるということになります。
これを時給3,000円で8時間、22日間働いた場合は528,000円が売上となり、300,000円を引くと228,000円が手元に残ります。(借入の返済はない人はないのでこれは今回のケースとして考えましょう)便利屋さんの時給が3,000円だった場合はたった228,000円です。新卒の初任給レベルの金額となってしまい、大前春子さんの半分くらいになってしまいますね。これを時給5,000円くらいにすると月の売り上げが880,000円になって300,000円を引くと580,000円になります。まぁ事業主なので月に8日も休むことはまずないですが、時給5,000円で8時間みっちり仕事が入ってきてようやく同年代のサラリーマン給与(額面600万円ほど)になります。このくらいになってようやく我々は「ちょっと休みでも取ろうか・・」と思えるわけです。
※借入の返済金は実際のところ収益ですし、あくまで感覚的なお話なので激しいツッコミはお控えください。
もちろん、額面であって所得ではありません。なので所得はもっとコントロールできますし、払う税金も会社員よりかはもっと安いです。年収600万円くらいの方の場合は時給で5,000円くらいの価値を産めなければならないというざっくりとした計算になります。(週休2日取る場合の感覚値です)私は25歳まで公務員でしたが、月に10日しか働いていないのに550万円くらいの額面給与を高卒で頂いていました。今思えば抜群のタイムパフォーマンスです。公安職で多少の危険や汚い場面にも出くわすので普通の公務員とは違いますが、仮に年収600円の公務員の方が自分の時給単価で5,000円の価値を生み出し続けられているかは甚だ疑問に感じる・・というのが民間の感覚です。もちろん役所の中にもハードなポジションや割に合わない部署があることも理解していますので一概に言えませんが、役所の方も自分の時給が5,000円という自覚があればもっと頑張って働こうと思えるだろうし、その仕事を取るということも考えなくていいわけです。なんて恵まれた環境なのでしょう。
少々脱線してしまいましたが、事業主(便利屋さんの私の場合)が時給3,000円で動いてしまうと、新卒初任給レベルの仕事をすることになってしまいます。もちろん依頼内容が新卒でもできるような内容の場合があるのも事実ですが、ビジネスとしては成り立たないというのがわかるかと思いますので、時給3,000円で引き受けられる内容はほぼないという結論に達したのと、周りの専門業者さんのサービスとのギャップでそんなに安くやらなくても仕事はいくらでもあるということがわかり、それなりの適正価格で仕事をすることになりました。
これら以外に我々は集客のためにブログを書いたり、イベントを行ったり、地域にボランティアで顔を出したり、経理作業をしたり、お客さんにお手紙を書いたり、サービス向上のために研修に行ったり、勉強したりとさまざまな作業を時間外で行っています。
時給3,000円で成り立たせられるようにするためには
結果的に薄利多売にならないと難しいということになります。事業主が自ら動いている間はどうしても単価が高くないと成り立たないサービスも、アルバイトさんで回るようになれば低価格でサービスを回すことができます。
しかしながらサービス業はある意味「人」にお客さんがつく部分もありますので、そうならないようなバランス感覚と、多くの仕事がくる仕組みを作っていく必要があります。
今のところたくさん仕事が来るような仕組みづくりと、サービスの単価を上げてもしっかりと仕事が受けられる技術の向上や設備の導入など両面を鍛えている状態です。
よくよく考えてみてほしい『マッサージ』業の単価
駅近でサービスを展開する大手のマッサージチェーンの場合のサービス単価は45分6,600円ほど。看板のブランドが弱い郊外型でも60分4,400円ほどです。もちろん場所代がかかったり、サービスとサービスの間に隙間時間が生まれたりするのも事実あるでしょう。
しかし、お客さんは来店してくれます。移動に関する時間や経費はかかりません。
どこが調子悪いと言っても基本的には研修で統一されたマッサージを行いリスクも最小限。場所代が高いとはいえ、なかなか効率よく稼いでいることがわかります。もちろん広告宣伝費はそれなりにかかるでしょう(ホットペッパーに吸い取られるそうです笑)が、効率よく売り上げ自体は上がります。しっかりお客さんが来続けているのであれば、経営的に考えれば悪くないビジネスのように思えます。
45分で6,600円は時給に直すと8,800円です。別に資格もたいした経験がなかったとしても、そのくらいの金額をとっても駅の近くで行きやすければ「価値」があります。お客さんの家まで出向いて行うサービスは、いつしか見積もり無料が当たり前(絶対にそんなことないのに)となってしまっています。まずは、この「家に来てくれる」という価値の高さを上げていく必要があるのかなと思っています。
見積もりは無料だとしても、その分の経費はしっかりと請求しなければビジネスは続けられません。
サービス料金の設定について友人・知人に伝えたいこと
ここまでのことを考えて、店長が実際に現場に行くサービスについてはそれなりの金額を今は請求していますが、オープン当時はよく理解できていませんでした。
そしてこれらのサービス単価の受け止め方は、『発注する側の稼ぎによる』ことが大きいです。
自分の時間単価が高いと認識できている人の場合と、時給1,113円の場合と、売上と手残りが計算できる人と、売上=時給と勘違いしている人と、金額を伝えた時の受け止め方は同じサービスでも全く違います。我々はそんなに安売りをするつもりはありませんし、せっかく起業した友人たちにもサービスの単価をそんなに安く設定しなくていいのでは?と問いかけたいなと思っています。
自分の時間をお金に換算して、それも目標とする時間単価に変えて、サービスの料金を設定していくといいのかなと思っています。
まとめ
このブログを書くのに2時間近く費やしました。果たしてその価値はあったのでしょうか笑。
しかしながらサービスを検討してくれているお客さんが、なるほど確かにそのくらいの費用はかかるよねと理解してくれたり、起業した友人たちが自分のサービスの価格を見直したりして少しでもいい稼ぎになったりしてくれたら、きっとこのブログを書くことに費やした時間も無駄じゃないなと思えます。
事業主さんからしたら当たり前のことなんだけど、今回はそんな当たり前を数字を交えてイメージできるようにしてみました。会社員って恵まれてますね。そして人を雇っている経営者のみなさんってすごいですね。頑張って雇って残ったお金から税金をがっつり取られるわけですからね。働かせてもらえるってありがたや。ではまた
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