実家の片付けを進めたいけれど、兄弟と意見が合わずに立ち止まっている——。
「まだ片付けるのは早いんじゃない?」
「勝手に捨てるなって言われた」
「手伝ってくれないのに文句だけ言う…」
実は、こうした兄弟間のトラブルは非常によくあるケースです。
本記事では、実家の片付けで兄弟と意見が食い違う理由や、トラブルを避けるための進め方・声かけの工夫について、わかりやすくご紹介します。
目次
なぜ実家の片付けで兄弟と揉めやすいのか?
① 価値観の違い
実家の片付けにおいて、兄弟や家族の間で揉めやすいのは『価値観の違い』が原因として多く挙げられます。
例えば、『時間がないけどお金はある』『時間はあるけどお金はない』という価値観の兄弟が話を進めようとした場合、時間をかけずに業者さんにお願い人と、少しでもお金を残したい人という構図で話が進まない場合があります。
例えば、「実家を片付けてスッキリしたい兄」と「思い出の整理ができず残したい弟」という場合もあります。お金については数字で調整できる可能性があるのに対し、感情の部分は調整のしようがありません。こうしたちょっとした価値観の違いから片付けが進まないことがあります。
② 感情のもつれ(親との関係性・役割の偏り)
例えば親と仲が悪く、「なぜ親の後始末をしなければならないのか」と考えている兄と、親と仲が悪かったけれど「やらなければいけない作業の1つ」と割り切って作業を進めたい弟、こうした場合も兄の感情的に前向きになりにくいのは理解できます。
③ 物理的な距離(遠方・情報格差・当事者意識の違い)
遠方に住んでいて子育て真っ最中の兄と、独身で比較的時間の自由が効く近くに住む弟。早く売却できたら多少まとまったお金も入るから進めたいと考える弟に対し、子育てで時間もお金も余裕がない兄。片付けなければならない荷物の中に学生時代に大切にしていた物があるなど、なかなか全てを委託できない兄から片付けのGOサインがなかなか出ない。。。
テレビで一軒家の中身をまるごと処分するのに100万円近くかかった事例などを見て、自分の家もそうだと信じ込み見積もりを取るのも怖くて進めない。でも毎年固定資産税を数万円納めなければならず、無駄な出費はしたくないと考え前に進めたいなど、情報に差があったり当事者意識が違ったりするとなかなか前に進めないケースがあります。
④ 「話し合いがないまま」進めてしまうパターン
また、話し合いをしないまま進めてしまって揉めてしまうパターンもあります。『あれは処分してほしくなかった!』など、後から言われても処分してしまった物が戻ってくるとは限りません。そういったタイミングで、処分を進めてほしくないという圧力がかかり、かといって自分でやるわけでもない・・という感じで揉めてしまうということがあります。
兄弟間トラブルを防ぐために大切な3つの考え方

① 「正しさ」より「納得感」を重視する
どちらが正しいというわけではなく、片付けを進めるタイミングに正解はありません。この記事を読んでくださっている方は、どちらかというと片付けを進めたいと感じていることでしょう。まずは、話を進めさせてくれない兄弟に敵対することなく、どうやったら納得して進められるかという視点を持ちましょう。
② 主張する前に「まず共有・相談」
『片付けを進めたい』と一方的に主張しても、価値観が違う兄弟が嫌がっている段階ではなかなか進みません。まずは実家がどうなっているかを共有するところから始めましょう。
1、年間にかかっている固定資産税の金額
2、空き家を放置した際のリスク(放火や動物の侵入など)
3、空き家を放置した際の固定資産税が増えることについて
4、空き家を放置すると草が伸びてしまい隣家に迷惑をかける
5、除草作業を業者に依頼した際の概算の金額
実家がもし空き家になっている場合、あまりにもマイナス面が多いことを事実として共有してみるのもいいかもしれません。また、早く片づけを進めた場合のメリットも共有しましょう。
1、早く片付けたほうが売却できる確率が高くなる
2、早く片付けて賃貸に出すと家賃収入がその分早く発生する
3、早く手放せば無駄な固定資産税を払わなくてすむ
など、早く空き家になっている実家を手放すことで受け取れるメリットも多くあります。
こうした事実や、先延ばしにするデメリットを共有した上で、『片付けたい』という気持ちについて相談してみましょう。『片付けを進めたい』という気持ちがあるウチにやらないと、ライフステージの変化とともに片付けられなくなってしまう場合があります。相手の方が『今』そのライフステージにいる場合は、ある程度委任してもらえないか聞いてみましょう。
③ 無理に急がない、段階的に進める意識を持つ
片付けを進めないと発生するデメリットを事実として共有しつつも、相手の心情にも配慮していることを伝えましょう。無理に急いでやるという雰囲気を出さずに、ちょっとずつでも進めたいという気持ちを伝え様子を見てみましょう。
片付けを進めるための実践的な工夫

① まずは“現状の把握”から共有する(写真・リストなど)
まずは兄弟に現状を共有してみるところからスタートしましょう。そのためにも、実家が今どうなっているのか、画像や動画で伝えてみましょう。物で溢れていて『すごく大変そう』なのか、意外と荷物が少なくて『このくらいだったら頑張れば自分たちでできそう』なのか、まずは事実を共有してみるところから始めていきましょう。
② 小さな合意からスタートする(脱衣所だけ、1部屋だけ)
事実を共有した上で、まずは相手に支障がない部分で片付けの合意形成をしてみるのもいいと思います。比較的荷物や大切な物が少ない脱衣所や、浴室の中だけなど、断る理由がない部分から進めてみるのもいいかもしれません。
少しでも前に進むと、差し障りのない別の部屋の片付けも進められる可能性が広がります。
③ 第三者(親戚・専門家など)を挟むのも有効
それでもなかなか進まない場合は、第三者からの意見を挟んでみるのも時に有効です。兄弟など身内の話には耳を貸さないけれど、対外的にはしっかりしていなければならないと考える人もいます。
例えば片付けの専門家に片付けのアドバイスや見積もりを取ってみて、見積もりの情報を共有したり、第三者の立場から「少しずつ進めませんか?」という言葉があると話が進む場合もあります。
片付けを進めたい人と、まだ気持ちの整理がつかない人は敵ではありません。タイミングが違ったり、性格や心情の部分が違うという状態です。ここでは、片付けても支障がないと相手が感じる部屋や脱衣所などから、小さく合意形成を図っていくことをおすすめしています。
それでも意見が合わないときの対処法

① 話し合いが平行線の場合は、一度冷却期間を置く
それでも意見が合わない時もありますよね。『そもそも私がいうことには問答無用で全て反対・・』そんな兄弟関係も中にはあるでしょう。他にも『私は1円も払いたくないし片付けもしたくない』というスタンスの人もいて、全ての費用と作業の負担を押し付けられてしまうパターンなどもあります。
それでも兄弟ですから、感情的になってしまう時もあると思いますが、喧嘩しても前には進めませんので一旦距離を置いてみましょう。例えば電話で話してダメだったとしても、対面で話せるタイミングがあれば話が進む場合もあります。相手が嫌だというにも理由があるはずなので、1回冷静に時間を置いてみましょう。
② 「片付けたい理由」を丁寧に説明する(例:防犯・老朽化など)
上の方でも少し触れましたが、放火や雑草、動物の侵入など、空き家を放置することはデメリットの方が大きいことを理解しましたよね。また、固定資産税や空き家の管理に時間と労力がかかることも事実としてあります。
こうしたデメリットだけではないと思いますが、『片付けたい理由』を丁寧に説明してみましょう。こうしたデメリットがあるという事実を兄弟が認識していないだけという場合もあります。片付けたい理由を知って、当事者意識を持って目線が揃うこともあります。
③ 片付け以外の選択肢を一緒に考えてみる(空き家管理やそのまま売却など)
例えば両親が亡くなって、まだ思い出の実家を整理したくないというタイミングの時もありますよね。どんどん片付けたい人ばかりでないのも事実。将来的に自分が住んでもいいかなと思っていたりすると、『そのままにしておいてもいいか』という考えになるのも理解できます。
そういった場合は、片付けにこだわらなくてもいいかもしれません。適切に管理することで、将来活用できるようにメンテナンスという選択肢が出てきます。
また、片付けを先に進めてから売却した方が、家財道具が入ったまま売却するよりも売却金額は安くなってしまいがちです。しかし、手元資金に余裕がない場合は、売却益が入ってくる前に一定の金額(例えば数十万円程度)が出ていくことが嫌だという場合もあります。そういった場合にはそのまま売却してしまうというパターンもあります。
家族といえどそれぞれが置かれた状況やライフステージはみんなバラバラです。『なんとしても片付ける』という選択肢に固執せず、時に柔軟に考えを変え、家族みんなが納得する形に収められるといいですよね。

私たちにできるサポート|空き家・実家片付けの相談窓口

家族間の意見調整にも寄り添ったご提案が可能です
店長は『空き家相談士』というちょっと特殊な資格を保有し、空き家や実家の片付けの相談窓口として、幅広い選択肢を持っています。もちろんお片付けを進めることもやぶさかではありませんが、時にそのまま売却という選択肢を取ることも可能です。また、費用面で片付けが進まない場合も、行政の粗大ごみの処分方法をサポートすることで(もちろん搬出費用などはかかりますが)処分費用を浮かせるなどの提案も可能です。
「まずは状況を整理したい」というご相談だけでもOK
なかなか兄弟や家族の意見が合わず、状況を整理したり相談したいというご連絡も承っています。こういった話は進むまでに一定の時間がかかることを我々は理解しています。まずは兄弟や家族で話し合いを進めるための情報収集だけでも大丈夫。見積もりを取るだけでも大丈夫。
我々に相談するだけでも何もやらないよりかは少しでも前に進みます。その一歩を我々は可能な限りサポートいたします。
遠方に住む兄弟にも共有しやすい写真付きレポートも対応可能
なかなか遠方に住んでいると話が進まないことってありますよね。当店では3年に渡り空き家の除草作業を依頼してくれている空き家があり、そこは固定資産税だけで年間10万円弱支払い続けています。しかも老老介護になってしまって重たい腰が上がらない、娘は興味を持ってくれないしどうにもならない・・
というお客さんに対し、年に1回ほど草木が伸びて来た際に写真付きでレポートを送っています。また、誰かに背中を押されないと絶対に前に進めないから電話して欲しいというので、2〜3ヶ月に1度お電話で『そろそろ進めませんか?』という連絡を入れています。
このケースは家族で揉めているわけではありませんが、なかなか前に進めないという方も状況に合わせた対応をしています。
まとめ|「片付けること」より「家族で納得すること」が大切です
『片付けること』だけが実家や空き家の整理ではありません。特に兄弟や家族で揉めてしまっては進む話が進まなくなってしまうので、あくまで事実として今こういう状況で、放っておくとこんなデメリットがあるという事実を伝えましょう。
その上で、片付けたい理由を伝え、それでも話が進まない場合は1回距離を置いてみましょう。
できるだけ対面で話せるタイミングを狙って、時には専門家の力を借りて、家族が納得できる形を探してみましょう。当店では、少しこじれてしまっている兄弟や家族間の気持ちの問題にも可能な限りのことを対応するようにしています。
事実をまとめたり、他の選択肢のお手伝いもできますので、そんな時はお気軽にお知らせください。
コメント